新卒一括採用を安易に叩くな コドモたちの混乱とオトナたちの無責任

新卒一括採用を安易に叩くな コドモたちの混乱とオトナたちの無責任

 日本の大学の特徴のひとつは、職歴のある学生が極めて少ないことです。高校卒業と同時に進学するため、アルバイト程度しか働いた経験がありません。だからといって、職業訓練校のような実務教育をどの学部や学科の学生にも提供することは大学として難しい。

 そのような環境で育った学生を卒業時に一括して採用し、育成していく仕組みは、企業・大学・学生・親・社会の5者にとって、本来は合理的なのです。

 ただ、大学生の数がどんどん増え、質も多様化したことにより、既存の仕組みに乗れない学生が出てきた。それが経済の停滞と相まって、学生の職業社会への移行を難しくしているわけです。

 こう考えると、私は、今まで続いてきた新卒一括採用は残しつつ、いくつかのサブシステムを増設する方がいいのではないかという結論に至ります。

 確かに通年採用をやれば問題が解決する、ということでは全然ないですよね。
 
 働いていてよく考えるのは、自分がよい就職活動ができたかということは、いつになったらわかるんだろうということ。
 いまでも自分が自分にとってよい企業を選んだかどうかはよくわからないし、この先もわからないんじゃないかと思います。
 就活する学生たちの不安や混乱を緩和するには、「君たちにもっともマッチした仕事を見つけられるような就活システムを考えていきますよ」というより、「なんかよくわからない会社に入社しちゃっても、なんだかんだで楽しくやっていけるようにフォローししていきますよ」というほうがいいんじゃないかなと思ったりして。