携帯カンニング工夫するヒマに勉強しろよ!

携帯カンニング工夫するヒマに勉強しろよ!

 この問題について、この原稿を念頭にTwitter上でブレーンストーミングさせてもらっていた時、ある方から

京都大学の記者会見で『入試は大学の業務の中で最も大事な社会的な契約事項である、万全を尽くしているつもりだが、それを妨害された』と言っているのを見て、頭がどうかしているのかと思った」

と頂戴しました。実は私も大学慣れしてしまって、入試が最大重要業務という常識に染まりきっていたのですが、その方のご指摘は実に直球で

「大学は本来、学の府として高度な研究と教育の末に社会に役立つ人材を輩出してこそ大学ではないか」

というまことに正確なご批判。そうなんですね、京大記者会見は結果的に「大学として一番大事なこと」として「人材育成・研究教育」以上に「入試」が大切、という、現場の常識を語ってしまった。これは、あまりほかの方が指摘しそうにないので、言っておくべきかと思います。

 そうなんです、学生の単位取得だとか卒業だとか、あるいは卒業後の進路とか、そういうことは大学全体を揺るがすようなことにはなりません。逆に、入試で何かあったら、学長や入試責任者は下手すればクビが飛びかねないかもしれません。そういう現実認識が大学の中にあります。

 そして、これ自体が実は日本の大学の病だといわねばならないと思います。

 確かに、出口より入口を重視する姿勢は受験生にも大学側にもあるような気がします。大学にとって受験料は貴重な収入源ですよね……。
 受験生たちにとっては、たいしたショックでもないのかもしれないな、と思います。大体の人が「なんか変わったやついるなぁ」なんて思っているくらいなんじゃないでしょうか。犯人が悪いだの大学側の監視の仕方が悪いだのということはあまり言いたくはないです。
 もちろん誰がやったかを特定して処置したり、これから携帯持ちこみ禁止にしたりするのはいいけれど、「妨害された」なんて怒りをぶちまけるより先にまずちゃんと受験してくれた受験生に謝って、カンニングした人はちゃんと不合格にしますので安心してくださいと、言ったほうがいいんじゃないの、と思います。仮にそれが自分たちが「万全を尽くし」たうえで一人の受験生がそれをすり抜けていった結果起こったものだとしても。それが大人の対応というものではないのかなぁと僕は思います。