純文学にあって漫画にないものってなんだろう?

純文学にあって漫画にないものってなんだろう?

 都の人間が漫画とアニメを名指ししてそれらにだけ網をかけようとしたのは、彼等にとって漫画とアニメが「芸術」ではないからだ。
 そう思ってみれば付帯決議はまさにお笑いだ。そもそも、芸術と認めていないからこそ規制しようとしているものについて、その芸術性を勘案するもへったくれもない。小学生でもわかる理屈だ。鞭の先に飴玉をくくりつけて、いったい何をしようと言うのだ? 叩かれて痛い思いをするのは実在の青少年だぞ。

 思うに、お役人ににとっての芸術は、わたくしども受け手の側の人間が評価しているところの芸術とは、定義からしてまったく別のものだ。
 彼等にとっての芸術は、税金をつぎ込んで助成したり、ハコモノを作って育成を促す対象で、つまるところ外郭団体みたいなものだ。能と歌舞伎と雅楽芸術院の会員さんたち。喜寿を過ぎた大家の先生方。人間国宝。その認定機関と審議委員。それら芸術に係る機関と人員と施設と制度は、公の資金を投入してでも保護しなければならない、と、かような筋道で彼等はものを考える。あらゆる事態を補助金ベースで。

 だから、売り上げが好調だったり大衆的な人気を得ているものは、彼等の目から見ると芸術には見えない。むしろ税収源に見える。商品。課税対象。そして規制のターゲット。税金の投入対象たる「お芸術」とは正反対のものだ。

 規制を本格化させるなら、せめてその前に、何が芸術で何が芸術でないのかについて判断する仕事だけは、できれば民間に委託してほしい。なんなら私が引き受けても良い。もちろん報酬は要らない。無給でオッケーだ。黙っているだけで、裏金がばんばん入ってくるはずだからして。

 小田嶋さんのコラムは好きでよく読んでます。青少年健全育成法改正案可決しちゃったな……。僕はとりあえずなるべく自由に好きなこと書いたり描いたりできる世の中がいいです。