韓国が放つ次なる世界戦略「商品」の中身

韓国が放つ次なる世界戦略「商品」の中身

エネルギー浪費型の都市から環境配慮型のスマートシティへ――

 都市のパラダイムは今後、人口が急増するアジアを中心に急速に変化していく。スマートシティへの移行が意味するのは、都市創造産業の誕生だ。動き始めた新産業の胎動を、日経ビジネスでは2010年9月6日号の特集「スマートシティ〜40兆ドルの都市創造産業」でリポートした。

 中国やインドなどでは今後、様々な表情を持ったスマートシティが増殖する。そこに商機を見出した国や企業は、既に動き出している。日本のお隣、韓国も例外ではない。ソウル近郊に姿を現した、6万5000人規模の「新都市」の実力をご覧に入れよう。

(中略)

 自然環境との共生を重視した街だけに、自然も多い。ニューヨークのセントラルパークを参考にしたという約4万平方メートルもの広さの公園が広がり、海水を利用した川にはバス代わりの船が行き来する。低層の建築物の屋上は緑化されている。木々が生い茂る公園を散策していると、トンボが悠々と羽を広げていた。

 それでは住環境はどうか。分譲済みのマンションの63階にある一室を案内してもらったところ、スマートシティを標榜するだけに、住居にはハイテクが満載だった。

 リビングにはエアコンや照明の制御、電力消費量の確認などができる集中制御端末があり、大画面テレビやパソコンでも同じ操作が可能。レストランを予約したり、テレビ会議システムを使って医師の助言を受けたりもできる。これらのシステムは今後、米アップルの「iPhone」のようなスマートフォンでも操作できるようになる予定だという。

(中略)

 ソンド新都市は、海外で需要の急増が見込まれているスマートシティのひな形としての役割も持つ。ゲール・インターナショナルはソンドの開発で蓄積したノウハウを基に、アジア地域へと事業を拡大する計画という。ムーア副社長は、「今後は中国を中心として新興国で20カ所の新都市を造る計画がある。ソンドでビジネスモデルを構築し、そのDNAを移植していく」と意気込む。

 アジアに出現するアップル・グーグル的都市。個々の地域の伝統、文化はどうなっていくのだろうか?