タイガーマスクと震災が、寄付文化の転換点となるか?

タイガーマスクと震災が、寄付文化の転換点となるか?

 日本ファンドレイジング協会の「寄付白書2010」によると、2009年における日本の寄付は1兆円超でした。内訳は、個人によるものが約5500億円(うち4割は宗教関連)、法人によるものが約5000億円です。一方、同年の米国における寄付の総額が3030億ドル(執筆時レートで約25兆円)だったといいますから、その規模の差は明らかでしょう。

 日米の寄付の規模の違いには、双方の寄付文化や税制の違いが大きく作用しているとの指摘があります。健康保険などの社会保証制度が不十分な米国社会では、政府に代わる存在として、民間の寄付が「富の平準化」に寄与しているとの見方もあります。

 ただ日本には文化や税制以外の問題もあります。端的に言えば「寄付したい人」と「寄付を受けたい人」とのマッチングがうまくいっていないのです。寄付者は「どこに寄付をすれば自分が望む社会貢献ができるのか?」「自分の寄付がどのように生かされたのか?」などが分かりません。またNPOなどの受益者も「そもそも活動資金が足りない」という問題や「自分の行っている活動を一般市民や寄付者に知ってもらう機会が乏しい」という問題を抱えています。このような現状が、タイガーマスク現象や東日本大震災という出来事を通じて、徐々に明らかになってきたと言えます。

 寄付キャンペーンなどのCSRはだいぶメジャーになった感はありますよね。でもそれがちゃんと機能しているかどうかはまた別の話で、これからはただやるだけじゃなくて「その先」の活動も見られていくのではないでしょうか?