モーリス・ブランショ『書物の不在』

書物の不在 (叢書・エクリチュールの冒険)

書物の不在 (叢書・エクリチュールの冒険)

 書物の不在とは、書物に何が書かれているかという問いをさしむけることができないものであり、書物のあらゆる現前(プレザンス)の継続性を破棄してしまう。書物の不在とは書物の内部性ではないし、たえず問いからすりぬけていく書物の意味でもない。書物の不在とは、書物のうちに閉じ込められていながら、書物の外部にあるものである。書物の外側にあるものというよりは、書物にかかわることのない外部をさし示すものである。

 フランス戦後最大の文芸批評家モーリス・ブランショ。まず本の装丁が異常にかっこいい。アマゾンには画像でてないと思いますが、漆黒のフェルトっぽい地の背表紙にのみ銀のフランス語で著者とタイトル。そして中のページはオレンジがかった赤。学校の図書館でふと見つけたのですが即効で貸出決定。本に「呼ばれた」っていうのはこういうことなのかなと思いました。確固として意味のわかる文章は一つとしてない。それでも、何度でも読んでどういうことが書いてあるのかわかる自分になりたい。そういうふうに自分をドライブさせてくれる本です。卒業間際にこの本に出会えてよかった。