テレビ局の緊急特番、ネット再配信相次ぐ

テレビ局の緊急特番、ネット再配信相次ぐ

 「停電のため、テレビがご覧になれない地域があります。人命にかかわることですから、少しでも情報が届く手段があるのでしたら、活用して頂きたく存じます(ただ、これは私の独断ですので、あとで責任は取るつもりです)」

 NHK広報局が発したこのつぶやきが、未曽有の被害に立ちすくむ人々の考え方を、一歩前に向かわせたのかもしれない。3月11日午後2時50分に発生した東北地方太平洋沖地震。その直後、ある一般ユーザーが動画配信サイトのユーストリームで、NHKのテレビ放送の同時再送信を勝手に始めた。これについてツイッター上から寄せられた、著作権上の問題がないかとの質問に応えたものだ。

 もちろん杓子定規に言えば、法律上は問題がある行為といわざるを得ないだろう。だが、この回答の直後からツイッター上では、NHK広報局の担当者の姿勢を応援するつぶやきが相次いだ。これまでテレビ局はこれまで自らのビジネスモデルを崩す恐れが大きい、ネット上での番組再配信に否定的だった。だが多くの人が深刻な被害に直面する中、そうした建前論を吹き飛ばし公益性に基づく判断を示したことへの共感が広がった。

 こうした世論に押されたばかりではなかろうが、テレビ局は相次いでネット再配信に動いた。NHK日本テレビテレビ朝日が放送中の緊急特番の同時再送信を、ユーストリーム上の公式チャンネルで自ら開始した。フジテレビはユーストリームアジアに対して、再配信を許諾した。ニコニコ動画NHKとフジテレビの承諾を得て、同時再送信を実施している。