「2万人の固定ファンがいれば好きなことができる。できないのなら、それはシステムのせいです」

「2万人の固定ファンがいれば好きなことができる。できないのなら、それはシステムのせいです」

 そうですね。僕は、自分の批評家としてのキャリアから考えて、1万人や2万人の固定読者だったら絶対に確保できると思っていました。でも同時に、2万人という数字は、雑誌創刊のような大きなチャレンジをするには、あまりにも少ないと思っていたんですよ。2万人の固定読者がいても大したことはできないだろうと。

 ところが自分で会社をやって雑誌を作ってみたら、その2万人が雑誌を買ってくれたり、友の会に1200人入ってくれたりするだけで会社は回るし、執筆者たちにも市販誌以上の原稿料を支払うことができる。今回会社を作って、そのことが何より驚きでした。

 逆に言うならば、2万人という読者がいても書き手が好きなことができなかったのは、結局、今までのシステムのせいだったことが明らかになったんです。本当ならば、2万人の固定ファンがいれば大変な可能性がある。そして、2万人程度の支持者がいる、メジャーというわけでもないけどそこそこ有名なミュージシャンとかアーティストとか物書きって、じつはいっぱいいると思うんですよ。そのひとたちが、いままでは所詮はニッチで生活できないということになっていた。でもそれはシステムのせい、具体的には流通とか宣伝とかのせいだったんです。それが今回はよく分かりました。

 東さんは有能なビジネスマンですね。