万能性阻害?iPS細胞に変化妨げる部分

万能性阻害?iPS細胞に変化妨げる部分

 様々な組織の細胞に変化できるiPS細胞(新型万能細胞)には、もととなる細胞の性質を記憶したまま変化しにくい領域があることを米ウィスコンシン大学などのチームが突きとめた。


 この領域を目印にすれば、安全性の高いiPS細胞を見分けることができるかもしれない。英科学誌ネイチャーに3日発表する。

 iPS細胞の作製では、皮膚の細胞などへ遺伝子を導入したり化学物質を加えたりして、細胞核内で遺伝情報を記憶するDNAの状態を変化させる。研究チームはDNAにメチル基という分子が結合する「メチル化」に着目。人間の細胞から作った5種類のiPS細胞と、より安全なES細胞(胚性幹細胞)で、DNAのメチル化の状態を比較した。

 その結果、iPS細胞とES細胞では、DNAのほとんどの領域でメチル化の状態は同じだった。しかし、iPS細胞のごく一部の領域では、ES細胞と比べてメチル化があまり進んでいなかった。研究チームは、この領域はもとの細胞の状態を保持したままで完全な万能細胞になるのを阻んでいると推論している。