米医科大学、記憶を向上させるタンパク質を発見

米医科大学、記憶を向上させるタンパク質を発見

 英科学誌ネイチャーに掲載された研究によると、マウントサイナイ医科大学(ニューヨーク)の科学者は、記憶の形成過程で自然と脳内に分泌される物質が、ラットのある種の記憶の強さと持続性の向上に役立つことを突き止めた。

 科学者によると、この物質――組織の修復だけでなく細胞の成長・発展に不可欠な「IGF(インスリン様成長因子)−II」の名で知られるタンパク質のような分子が脳から遮断されると、ラットは学んだことを忘れてしまう。

 注目されるのは、この研究で、「陳述記憶」――場所や事実、物事を覚える能力――の分野で改善がみられたことだ。「陳述記憶」はアルツハイマー病や認知症で失われることから、研究者はこの「陳述記憶」を改善または維持する方法を長年探し求めてきた。

 「IGF−II」が人間にも有効かどうかを判断するのは時期尚早だが、これまで研究されてきた物質よりも期待がもてる、とニューヨーク大学認知神経科学者エリザベス・フェルプス氏は指摘する。フェルプス氏は今回の研究に参加していないが、ネイチャーに発表された研究は「厳密」で徹底的なものと評価している。

 「IGF−II」の良い点は、血液脳関門を通過できることだ。これにより、脳に直接注入するのではなく、血流もしくは蒸気による鼻への投与が可能になる。しかも、体内にすでに存在するため、有害ではないと思われる。

 一方で、科学者の目は、体内の他の細胞への悪影響に向けられるだろう、と今回の研究の主席執筆者でマウントサイナイの神経科学教授であるクリスティーナ・アルバリーニ氏は言う。

 アルバリーニ氏によると、長期的な記憶を形成するには、脳内神経細胞を繋げ、その繋がりを強化するためにある種のタンパク質と分子が必要で、「IGF−II」はそのような分子のひとつだという。ただ、アルバリーニ氏は、さらなる研究が必要、との見方を示した。

 これ僕の脳みそに打ち込んでほしいっすわ。