格安スマートフォンアプリを武器に音楽業界に挑む新企業

格安スマートフォンアプリを武器に音楽業界に挑む新企業

  前述の3組が利用しているのが「Mobile Roadie」という開発ツールだ。一から作れば数百万円かかることもあるアプリが、共通のプラットフォームを使うことで、12万円から制作できる。ライブやCDリリースなどのニュース、写真や映像の公開、音源の販売、ファン同士のコミュニティーといった機能を、プログラムの知識がなくても付加できる手軽さも魅力だ。もともと米国で始まったこのサービス。本国ではマドンナやリンキン・パークら、既に1000組以上がこのツールで制作したアプリを公開しているという。

 日本でサービスを提供するのは、オール・アクセス・トゥデイ・ジャパン(以下、AATJ)。大手広告会社の電通、ネットでの動画配信などを手がけるスキルアップジャパンほかが出資。アメリカで音楽アーティストの権利ビジネスを手がける、オール・アクセス・トゥデイ(以下、AAT)のアジア拠点として、今年6月に設立されたばかりだ。代表取締役の畠山祐聖氏は、「Mobile Roadieは9月から提供を始めたが、3週間で約40社の採用が決まるなど引き合いが多い」と話す。

 米AATは斬新な商品やサービスを提供し、アメリカの音楽業界で独自のポジションを築いてきた。例えば、特別なライブチケット「VIPチケット」の販売。これは、ステージそばに座れるだけでなく、購入者だけに用意されたVIP限定グッズがもらえたり、バックステージやアフターパーティーへ招待されるなど、プレミアム特典が多数付くチケットだ。