町工場の技、首脳ら乾杯 真空チタンカップ、ほぼ完売状態

町工場の技、首脳ら乾杯 真空チタンカップ、ほぼ完売状態

 先日行われたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の昼食会で、オバマ米大統領ら各国のトップが使ったワインカップは、新潟県燕市にある国内唯一のステンレス製魔法瓶製造工場が作った。時間がたってもワインの冷たさを保つ「魔法のカップ」。町工場の「匠の技」が世界に羽ばたいた。

 カップを製造したのは、魔法瓶製造会社「セブン・セブン」。つぎはぎのように増築を重ねた工場には、年季の入った黒ずんだ機械が工程ごとに配置されている。従業員41人の平均年齢は51歳。従業員の一人は「自分たちの作ったものを世界の大統領らが使ってくれたなんて信じられない」と喜んだ。

 ワインカップの正式名称は「真空チタンカップ」。日本がAPECの各国首脳に用意した「お土産」にもなった。魔法瓶の技術を採り入れたカップは厚さ5.3ミリで、外面と内面の間に4ミリの真空層があり、保温・保冷効果が備わっている。このため、カップを持つ手に飲み物の冷たさや熱さを感じさせない。APEC用の特注品だったが、1万6千円で都内の「銀座松屋」や「日本橋三越」、「新宿伊勢丹」などで販売。予約待ちの店も出るなどほぼ完売状態のため、生産体制も強化するという。

 本記事にはカップに興味を持って眺める胡錦濤主席の写真。これ見たら作り手は嬉しいだろうなぁ!