大人気の三洋「GOPAN」を生み出した飯炊きおじさんの思いもよらぬ発想

大人気の三洋「GOPAN」を生み出した飯炊きおじさんの思いもよらぬ発想

 思いついたのは、2008年2月のある日の早朝のことだった。

 米は水に浸けると柔らかくなる米の特性に着目。さらに下澤氏は研究を続け、米を粉にするのではなく、ペースト状にするという大胆な発想転換に至った。

 「家で米からパンを焼くのに、米粉にする必要はない。ペーストの状態からパンを作れればいい」というのは、米粉にこだわり続けた関係者には思いもよらなかった発想だった。

 三洋電機は、飯炊きおじさんの研究成果をもとに、再度、家庭の米を使ったパン焼き機の開発に挑戦する。

 一方で、ご飯を炊くのに最適な水分量を算出した経験を持つ下澤氏は、何度も失敗を繰り返しながら、米パンづくりに最適な水分量を導き出す研究に没頭。ペーストの状態、こね方や発酵状態などの研究にも手を広げ、ようやくふっくらと焼き上がる米パンの試作に成功した。

 そのアイデアを実現できる技術を持っているところが凄い。