嶽本野ばら『ミシン』

ミシン (小学館文庫 た 1-4)

ミシン (小学館文庫 た 1-4)

 「あえて」の懐古的近代風な文体なのだけれど、ゴシックロリータ的なモチーフがたくさん出てくることでいい感じに薄っぺらくなっているというか、独特の雰囲気になっている。こういう雰囲気が好きな中高生の女の子は僕の世代ではちょいちょいいて、その子たちの志向していた何かが少し感じられるような気がする。

 解説では「他者」がどうだとか現代思想的な話がされていたのだけれど、僕はこの小説は竹下通りらへんの独特な雰囲気を思い出して楽しみながら読むほうが楽しいかもなと思います。