何が日本の若者を俯かせてしまうのか?
ブエノスアイレスで驚いたことのひとつは、働きながら学校に通う大学生たちの多さです。19、20歳といった子たちもいますけれど、25、30歳といった年配になって、それまで働いたお金でやっと大学に進学することができ、昼間や真夜中に働きながら大学に通っている学生が、本当に多いのでびっくりしました。
彼らと話す中で「日本の大学生も<アルバイト>する人は少なくないけれど、彼らは生活のために働くばかりではなく、親から仕送りしてもらって、小遣いのためにアルバイトするケースも少なくない」と言うと、実に複雑な表情をされてしまいました。
「自分だったら、もし親がお金をくれるのならば、空いた時間全部を勉強に使って早く実力をつけたい」
「そうだ、そうだ」
といった大方の反応だったので、
「日本では、授業が退屈でつまらないと大学をサボったり、昼間の教室では居眠りばかりで夜中のアルバイトで遊ぶ金を稼ぐ学生も少なくないと思うョ」
なーんて話をすると、さらにいろいろな反響がありました。
「それでどうして進学できるんですか?」
「試験がザル状態で、誰でも合格はさせてもらえるからだ」
「それで実力がつくんですか?」
「つかないねぇ」
「実力もつかないのにどうして日本の若者は大学に通うんですか?」
「学生も雇用する側も、学歴しか見ない時代が長く続いたからだろう。情けない現実だ」
「本当に、本当ですか?」
「現実だよ」
たしかに情けない話で、勉強はものすごく大事だと思います。しかし、大学で授業以外に得るものを馬鹿にしてはいけないとも思います。バランスの問題なのではないでしょうか。