「ただトモ夫婦」の衝撃

「ただトモ夫婦」の衝撃

 つまり働く夫たちは、不況の影響もあって「早く家に帰りたい」「妻や家族ともっと触れ合いたい」と感じているのに、妻は「ひとりになりたい」と強く希望する。この20年間で、夫婦間のギャップがグンと大きく広がってしまった格好だ。

 バブルの時代、妻たちは「亭主元気で留守がいい」と公言し、夫の愚痴を言ったり煙たがったりした。でも、ただトモ夫婦の妻たちは違う。多くは、いまの夫に大きな不満があるわけではない。気が向けば手もつなぐし、人前でチュッとキスもする。

 ただし、様々な要因から「ひとりになりたい」と「おひとり妻」欲求が高まれば、得てして夫の存在自体を忘れる。取材した中にも、「えっ?!」と驚くほどある日突然、夫や子供を置いておひとり妻を楽しむようになった妻たちが、何人もいた。

 この前見た「セックスアンドザシティー2」でも、夫が妻に「結婚週休二日制」を提案して妻が従来の結婚観とのギャップに悩む、という場面がありました。

 恋愛においての「男らしく」、「女らしく」っていう言葉は対して意味を持たないと思うけど、結婚においての「夫らしく」、「妻らしく」というのは社会的な制度だと思っています。そういうカテゴライズされた領域をそれぞれが持っていたほうがうまくいくから、長い間夫婦はそれを「そういうもの」として受け入れてきたのだと。それが変わっていくことが、よいことなのか悪いことなのかは、わかりません。