巨匠崇拝の背景探る 日韓でシンポ

巨匠崇拝の背景探る 日韓でシンポ

 日本の画聖の代表は、水墨画で知られる室町時代雪舟東京文化財研究所の綿田稔・広領域研究室長は現在の画聖イメージを「芸術を通じて内面世界を表すという、近代的な芸術家像に基づくもの」として、描かれた当時は、どんな位置づけだったのかに迫ろうとした。

 題材は代表作で国宝の「四季山水図(山水長巻)」。実は、別の襖(ふすま)絵を描くための手本だったというのが綿田さんの見方だ。当時、雪舟の拠点だった山口の大名、大内政弘が将軍邸にならって設けた居館の一室に、中国風の絵の手本として描いたのが「山水長巻」だったという。

 国宝と手本では、言葉の響きがだいぶ違う。綿田さんは「非常に優れた作品で、価値は変わらない」としたうえで「『芸術』という概念がなかった当時の状況を踏まえて理解、評価する姿勢が大切」と話した。

 こういうの好きです。現代の西洋美術の批評だとこういう手法は40年くらい前にクラウスという人がやっていて、僕の卒論はそれだったのだけど、その手法の価値は今も変わらないのですね。逆にいえば、こういう手法をいまだ使わなければならないほど日本画の世界では近代的「芸術」観がマジョリティなのかもしれない。