東京に女性職人のすし店開業、業界に波紋

東京に女性職人のすし店開業、業界に波紋

 猥雑な店舗が軒を連ねる界隈に位置する「なでしこ寿司」で唯一、滑りけがあるものといえば魚くらいだろう。すし職人の千津井由貴さん(24)は「魚が好きだ」と話す。千津井さんは「すし店で6年間働いていたが、すしを握れるのは男性だけだった」とし、「繁盛している日でさえも、ヘルプに入ることさえできなかった。それがこの世界のしきたりだ」と語る。

相撲や歌舞伎と同様、すしの世界も長らく男性に独占されてきた。しかし、それに終止符が打たれた。昨年末にオープンした、なでしこ寿司の17人掛けのカウンターの後に控えるのは若い女性だ。店の名物は、漫画のパンダ、およびカエルの頭部のような形をした寿司だ。客の90%を男性が占める。

 しかし、すし職人の座を独占してきた日本人男性にとって、これは冒とく的行為と映る。

 ミシュランから1つ星を得た東京のすし店「鮨なかむら」のオーナー、中村将宜氏(41)は「適切なすしの作り方ではないと思う。模倣を試みているだけだ」と話す。同氏によると、市場での新鮮な魚の選別、内臓の除去と身の下ろし、コメの握り、顧客と会話しながらのすし作りのリズムなど、適切な技術の習得には10年を要する。

 なでしこ寿司では2カ月ですしの作り方を習得する。内蔵を取り去ったり、身を下ろしたりする汚れ仕事に女性たちは関わらない。裏方には2人の男性が控える。

 「なでしこ寿司」のオーナー、錦織和也氏は、日本の働く女性の新たなモデルを作りたかった、と話す。しかし、雇うのは18〜25歳の女性だけだ。同氏は「フレッシュでかわいい」がわれわれのスローガンだと説明し、「30歳でここで働くことを望むなら、裏方だ」と述べた。

 女性が寿司を握ることに違和感や新しさを感じるということは、自分が寿司の伝統的な固定観念にとらわれているということなのでしょう。伝統を壊していいとは思いませんが、こういうものがあってもいいし、特に過敏に反応する必要もないような気もします。
 新しいスタイルを認めながらも、伝統は伝統でしっかりと守っていけばいいのでは。