【オピニオン】日本で強まる危機意識

【オピニオン】日本で強まる危機意識

 しかし、日本人は転換点に近づいていることを感じ取っている。このフレーズはもちろん使い古されている。しかし、筆者が1週間、日本の政治家、経済人、学者、一般市民らと話して分かったことは、現在日本社会には強い不安感が渦巻いていることだ。なるほど、多くの人たちは観念して、一部の学者がいうところの「ミドル・パワー」の地位を受け入れているようだ。しかし、指導的な役割を持つ者の大半は、日本はこれまでと同じ道筋をたどれば、重大なリスクに直面すると認識している。

 特に企業幹部は政治的混迷が続き、人口減少や内向きの若者が増える危険性を理解している。現在の流れを変えるため何かする必要性は、筆者が話したほとんどの人が認識している。ただ、日本の本能的な保守主義によって事態が最悪な状態になることが食い止められている。

 これが日本社会を全体的に安定させており、短期的にはよいことであるかもしれない。しかし長期的には、この種の運命論と保守主義は、問題を解決するという民主主義の能力への大衆の信頼を損なう結果に終わってしまう可能性がある。この国の障害が、日本特有の民主主義形態の特性であるかもしれないとしてもだ。このような政治的麻痺により、日本は過去に政治・社会制度の大幅な変化を経験した。このことは全員が警戒すべきだ。

 日本には余裕があり、街頭に出て体制変革を求めるデモを行う必要はない。しかし、さらにもう一世代、景気低迷が続き、日本固有の民主主義が続けば、カイロでの騒乱よりも対立的ではないにしても、試練に立たされることになる。