企業の“オトナ買い”に振り回される若者の悲惨

企業の“オトナ買い”に振り回される若者の悲惨

 結局、「就職難にあえぐ学生をどうにかしよう」などと、誰も真剣に考えていないんじゃないか、と。厳しい就職難で、わらをもつかみたい気持ちでいっぱいの学生は、いかなる報道にも敏感である。「一芸」と言われれば一芸を磨きたくなるし、「とんがれ!」と言われれば「とんがるとはどういうことか?」と悩む。3年までオッケーと言われれば、「本当にそうなのかなぁ」と期待と不安が入り混じる。

 問題は一括採用という方式にあるのに、それを変えようとしないわけで。「就職難だとか、内定率が低いとか言ってるけど、受かる人は受かってるだろ。どんなに厳しくてもさ」と内心思っているように思えてならない。

 報じるメディアも、あたかも“採用の多様化が進み、就職の間口が広がる”がごとく扱っているが、どれもこれも意味ある議論とは到底思えない。これでは学生たちを惑わすだけ。何も救いにはならない。

 “オトナ買い”ができるオトナたちの、建前と本音が透けて見えてしまうのだ。

 確かに新卒を卒業後3年まで伸ばしたり、採用時期を遅らせたりするのは「一部の企業に多数の学生が殺到する」という問題の解決にはならないような気もします。
 雇用を流動化しても会社が上手くやってけるような仕組みと、大企業だけにこだわらないように学生を方向づけることの両方が必要なのではないでしょうか。
 企業も学生もなんやかんやで「大企業で終身雇用」スタイルが日本経済の担い手だった事実を引きずってるんじゃないのかな。