就職うつ、学生に広がる カウンセラー増員の大学も

就職うつ、学生に広がる カウンセラー増員の大学も

  各大学のキャリアセンターや就職課などには、就職活動の相談に乗るスタッフが配置されているが、これまでは業界の選び方や自己分析の方法などに関する相談への対応が主な業務だった。しかし、ここ1〜2年で雇用情勢が急速に悪化。学生からの相談内容も多様化し、精神的にダメージを受けた学生が相談窓口を訪れる事例が目立ってきた。

 関西大学大阪府吹田市)では、大学スタッフのほか、キャリア相談のカウンセラーを2009年5月に3人配置。2010年12月、さらに2人増やした。カウンセラーが「精神的なケアも必要」と判断した学生には、臨床心理士や心理相談員もいて就職活動全般の高度・複雑な相談に対応できる「キャリアデザインルーム」を紹介している。

 同ルームを訪れた学生は08年度は延べ762人だったが、09年度は同831人。無理に就職活動を続けさせるのではなく、自分の長所に気付いて自然に自信を取り戻すことができるよう配慮しており、相談後に内定を得られた学生も多いという。

 カウンセリングを担当している伊東眞行・非常勤講師(臨床心理士)は「就職が決まらないだけではなく、両親の期待にこたえられない重圧感など、様々な要因が学生を追い詰めている。仕事選びについての実践的な助言と、精神的な面でのケアをうまく組みあわせたサポートが一層求められる」と話す。