訪日外国人旅行者数:年1000万人は絶望 1〜11月、800万人に届かず

訪日外国人旅行者数:年1000万人は絶望 1〜11月、800万人に届かず

 最も影響したのは、右肩上がりで増加してきた中国人の減少だ。政府は7月に中国人向けの個人観光ビザの発給要件を緩和。8月の中国人旅行者は前年同月比1・6倍の17万人超に達した。しかし、9月に尖閣諸島沖で中国漁船衝突事件が発生すると、日本向けツアーの中止などが相次ぎ、10月は前年同月比1・8%減とマイナスに転じ、11月は同15・9%減の6万8500人と減少幅が拡大した。1〜11月の累計は前年同期比43・4%増の135万2700人と国別で首位の韓国人(223万人)に次ぐが、「足元は厳しい状況が続いている」(観光局)という。

 また、円高も外国人旅行者の伸び悩みを招いた。1〜11月の米国人は前年同期比4・5%増の67万3300人、英国は同2・2%増の17万1400人など米欧は回復したものの、前年は金融危機の影響で大幅に落ち込んでいただけに、「今年は想定した伸びを確保できなかった」(観光局)という。

 観光庁溝畑宏長官は22日の会見で、中国人旅行者について、中国の旧正月に当たる来年2月からの予約が上向いていることなどを指摘。「11月から宣伝を本格化しており、積極的に取り組む」と語った。ただ、中国との緊張関係が残り、円高も続いているため、旅行業界では「急回復は期待できない」との見方が出ている。

 新成長戦略の要である観光業はおそらく来年も曇り空……。