村上春樹『1973年のピンボール』
- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2004/11/16
- メディア: 文庫
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ひとつの季節がドアを開けて去り、もう一つの季節がもうひとつのドアからやってくる。人は慌ててドアを開け、おい、ちょっと待ってくれ、一つだけ言い忘れたことがあるんだ、と叫ぶ。でもそこにはもう誰もいない。ドアを閉める。部屋の中には既にもうひとつの季節が椅子に腰を下ろし、マッチを擦って煙草に火を点けている。もし言い忘れたことがあるのなら、と彼は言う、俺が聞いといてやろう、上手くいけば伝えられるかもしれない。いやいいんだ、と人は言う、たいしたことじゃないんだ。風の音だけがあたりを被う。たいしたことじゃない。ひとつの季節が死んだだけだ。
気分が沈むことがあると村上春樹を読みます。
別に何か特別なメッセージを読みとろうとしてではなく、ただ読むことで物語の世界に入るのが心地いいからというだけ。
今日は難しいことはいいたくないや。ただ読むことの楽しさ。