絆はなぜ切れた:高齢社会の家族/3 そばにいるのに孤独

絆はなぜ切れた:高齢社会の家族/3 そばにいるのに孤独

 同社では02年の設立以来、年間約1800件の遺品整理を請け負う。その9割が孤独死で、特に最近増えているのが「同居内孤立死」。2世帯住宅や同じマンションに住む親子なのに交流がなく、死後数日たって気づくケースだ。

 しかし吉田さんは「昔に比べて家族の絆(きずな)や親を思う気持ちが薄れたというわけではない」と強調する。「子が親の面倒を最期までみられた時代は遠くなった。社会の仕組みや経済状況など、生活の土台が激変し、今の子世代は自分が生きるのに精いっぱいなのです」

 老後を血縁だけに頼るよりも、地域で「あの人、最近見ないね」と気づいてもらえるような関係を築いたほうがいい。たくさんの孤独死を見つめてきた吉田さんの答えだ。