「文化の多様性失う危機」 国際ペンが閉幕

「文化の多様性失う危機」 国際ペンが閉幕

「最初は何を書いたらいいか、戸惑った」

 日本ペンクラブ阿刀田高会長は、「環境」を描く文学として書き下ろした小説『闇彦』の朗読会でそう打ち明けた。その戸惑いは、一般の来場者と通じるものではなかったか。「環境」と言えば地球温暖化や自然保護をすぐに連想する。だが大会ではより幅広い定義がされたからだ。

 阿刀田さんは「地球温暖化を書くことは、私にはできない」とし、こう考えた。「自分の築いてきた文学を描くことが『環境』につながる」。描いたのは、神話の世界から語られる人間の「死」。死は、人間にとって最大の自然と解釈したからだ。