堀田あけみ『1980 アイコ 十六歳』

1980アイコ十六歳 (河出文庫)

1980アイコ十六歳 (河出文庫)

 十七歳が書いた小説としてはすごい。飾らないけど誠実に一番むずかしい頃の心の動きを描いてて好感度がいい小説です。最後の展開がかなり唐突だがそこがまたよい。

 30年前の文壇からしたら、この、語り手が誰なのかもはっきりしない(そこがこの小説の最大の魅力だと個人的には思っているのですが。「堀田あけみ」と「三田アイコ」のあいだをゆらゆらする語り手が)、女子高生の書いた文藝賞受賞小説は、一大ニュースだったことだろう。時代を感じる。